ヴァージン・アクティブCEOのディーン・コワスキー氏は、「リカバリーはもはや“贅沢”ではなく“成果を出すための必須要素”」と強調する。
同社では、サウナやコールドプランジを備えたハイドロセラピーエリアや、コンプレッションセラピー、マッサージガンなどを導入。
テクノロジーによるデータの可視化が進み、人々が「回復の重要性」を定量的に理解するようになった点が大きな変化だという。
ここ数年で、リカバリーに対する考え方が根本的に変わりました。これまでは“あとから思いつくもの”とされてきましたが、今では長期的なウェルネスの基盤になるものと捉えられています。テクノロジーの発展もこの変化を後押ししています。
Whoop、Garmin、Polar、Ouraといったウェアラブルデバイスが登場し、人々は睡眠、ストレス、その日の体調などをリアルタイムで把握できるようになりました。“測定できるものは無視できない”のです。
ガーミンの「Fitness Age」や、ポラールの「Body Age」、Fitbitの「Daily Readiness Score」、WHOOPの「Age Pace」などの指標により、健康度が確認できるようになり、リカバリーと運動の両方を習慣化するきっかけとモチベーションになっています。
また、人々の志向も“見た目”から“健康寿命”へと関心がシフトしています。人々は“見た目が良い”だけでなく、“長く活動的でいられる”ことを求めています。
Virgin Activeでは、リカバリーをストレングス、カーディオ、グループエクササイズと並ぶ中核的な柱として組み込みました。
「ウェットゾーン」では、ハイドロセラピープール、コントラストセラピー(温冷交代浴)、赤外線サウナなどを導入。「ドライゾーン」では、コンプレッション療法、マッサージガン、モビリティエリアなどを設けています。
どのツールも科学的根拠に基づき、簡単に使えるように設計されています。“ソーシャル・ウェルネスクラブ”という私たちの理念に沿って、効果的なリカバリーができ、かつ人と人が交流できる空間になっています。
メンバーの多くが今や、リカバリーを“贅沢”ではなく“日常のルーティンの一部”として捉えています。リカバリーなしでは努力が結果に結びつかない。リカバリーこそが進歩の鍵なのです。
WHOOP(フープ)

WHOOPは、リカバリースコアが測定できる新基準のウェアラブルデバイスとして、欧米のスパやウェルネスリゾートのリカバリープログラムで活用が広がっている。これまで広く支持されてきた「Fitbit」や「Apple Watch」のような“多機能時計”とは異なり、目的はただひとつ―「自分のリカバリーレベル(回復度)を見える化すること」。画面も通知もない、異色のウェアラブルデバイスである。
2012年に米国で誕生したWHOOPは、現在第5世代まで進化。軽量なストラップ型センサーを24時間装着するだけで、心拍変動、呼吸数、皮膚温、睡眠の深さなどを測定し、翌朝「リカバリースコア」として提示する。これが、「今日、どれだけの負荷(strain)に耐えられるか」を示す指標となる。
WHOOPの真価は、「休む力」を科学的に測定するという発想にある。運動量の記録ではなく、回復と再生を管理するツールであり、ユーザーは、“どれだけ頑張ったか” より、“どれだけ回復できたか” で自己管理を行うことができる。このコンセプトが、アスリートのみならず、ビジネスパーソンや慢性ストレスに悩む現代人のウェルネスにも通じることで、欧米のスパやウェルネスリゾートのリカバリープログラムで活用が始まっている。
WHOOPの仕組み
デバイス無料・月額25ドルのサブスク利用制。クラウド上で解析された個人データをもとに、睡眠・パフォーマンスの傾向を継続的に可視化する。「本体無料・月額課金という形は、ヘルスデータを継続的に提供し続ける“プラットフォームモデル” として、「WHOOPは単なるデバイスではなく、“ウェルネス・インフラ”である」と評されている。WHOOPのデータ精度は研究レベルでも検証されており、2024年のプレプリント論文では、WHOOPは睡眠段階・心拍変動・エネルギー消費の測定において研究機器と高い一致率を示したと報告された。
休息・睡眠・ストレス管理といった“リカバリーの質” を中心に据える考え方は、ウェルネス産業の新しい基準をつくりつつある。“休むこともまたトレーニング” ――その哲学を最も端的に体現するデバイスと言えるだろう。
Interview
ディーン・コワスキー(Dean Kowarski)氏
ヴァージン・アクティブ(Virgin Active)グループCEO