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強い企業をつくるには、強い経営者が必要だ。そして「強さ」の土台にあるのは、健康な身体と、揺るがない精神——。武士道の精神性、現代ウェルネス、リーダーシップ論を融合させた経営者向けプログラム「BuWEI(ブウェイ)」が、尾張名古屋の地から動き出す。

数百年の精神文化と現代知が、ひとつになる

日本経済の停滞、人口減少、都市間競争の激化——。国家成長戦略が掲げる課題に対し、「結局は、一人ひとりの経営者が強くならなければ、企業も街も国も強くならない」と語るのは、BuWEIの全体監修を務める鈴木陽一氏だ。名古屋で総合格闘技道場ALIVEを率いる傍ら、企業の健康経営コンサルティングに長年携わってきた鈴木氏は、現場で痛感していた。「若い社長は運動もするし食事にも気を使う。けれど、組織を動かす中間層のヘルスリテラシーが上がらない限り、日本は強くならない」。

その課題意識のもとに集まったのが、異なる専門領域を持つ4人のプロフェッショナル。

格闘技と健康経営の鈴木氏、日本舞踊の西川千雅氏、武道哲学とリーダーシップ論のIanRoth氏、フィットネスDXの齊藤邦秀氏。一見バラバラに見える4つの専門性が、「経営者を心身ともに鍛える」という一点で結ばれた。

プログラム名の「BuWEI」は、Bushido Wellness Exploration Initiativeの頭文字であると同時に、「道(ウェイ)」の響きも持つ。「道であれば、ゴールではなく、自分を磨き続ける旅になる。その喜びを知ることが、日本を強くする」と鈴木氏は力を込める。

身体で”腹落ち”する学び

BuWEIの核となるのは、4層のフレームワークだ。第1層の「Physical(身体)」で健康とコンディショニングの土台を整え、第2層の「Psychologica(l心理)」で信念とアイデンティティを磨き、第3層の「Practical(実践)」で交渉術や護身術といったスキルを身につけ、第4層の「Purposeful(目的)」で戦略とビジョンを描く。この階層すべてを貫く背景思想が、武士道の七徳——義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義——である。

このフレームワークを設計したIan Roth氏は、名城大学大学院でリーダーシップ論を教える教育者であり、ストア哲学のフェローでもある。

「最近のリーダーシップ研究で最も重視されているのは、行動やスキルよりも人柄、つまり人格の質です。それを磨くためには、武士道のような美徳のフレームワークが必要なのです」

西洋のストア哲学と日本の武道精神の双方に精通するRoth氏だからこそ見えた共通点が

ある。

「武士は人生が短いことを前提に、だからこそ全力で生きた。永遠に生きたいと願うのではなく、いつ死んでもいいように今を磨く。それこそがリーダーの姿勢です」

西川千雅氏は、名古屋西川流四世家元として日本舞踊の伝承と革新に取り組んできた立場から、「身体知」の重要性を説く。

「西洋は言語で伝え、日本は身体で覚える。今、世界は言語知の限界に直面しています。BuWEIが目指すのは、座学ではなく、身体を使って”腹落ち”する学びです」

守破離、温故知新——日本文化に脈々と流れる知恵を、現代のリーダー教育に読み替え

る試みだ。

DXでウェルネスを”見える化”する

プログラムのもう1つの柱が、テクノロジーによるコンディションの可視化だ。齊藤邦秀氏は、25年以上にわたりフィットネス誌『Tarzan』の監修を務めてきたウェルネスの専門家であり、近年はウェアラブルデバイスを活用したヘルスデータの分析に注力している。

「リングやスマートウォッチで自律神経の状態やストレスレベルを24時間記録すれば、リトリート中にどの体験が自分に効いたのかを客観的に振り返ることができる。主観と客観をつなげて、日常に持ち帰れる形にすることが大事なのです」

齊藤氏はまた、リーダーシップ論に身体の視点が欠落していることへの問題意識も語る。

「ビジネスの世界でリーダーシップを教える人はたくさんいる。でも、そこに身体のことはほとんど入っていない。武士の時代は心技体を一緒にやらないと生き残れなかった。それが切り離されたことで、弱いリーダーが増えたのではないでしょうか」

BuWEIの舞台——世界が認めた名古屋のアートホテル
THE TOWER HOTEL NAGOYA

BuWEI初回イベントの会場となるTHE TOWER HOTEL NAGOYAは、名古屋の戦後復興の象徴である中部電力MIRAITOWER(旧・名古屋テレビ塔)内に位置するブティックホテル。ロンドンに本部を置くSmall Luxury Hotels of the Worldに加盟し、「アート愛好家が行くべきホテル世界10選」に日本から唯一選出された実績を持つ。2024年にはミシュランキー(旧ミシュランホテルガイド)でも開業初年度から星を獲得し、2年連続受賞。東海地区の陶磁器や地産地消の食材を用いたレストラン、地元アーティストの作品が彩る客室など、名古屋の文化資源を凝縮した空間が、武士道ウェルネスの世界観と共鳴する。

BuWEI Faculty

”策”

鈴木陽一
Strategy & Business

株式会社ALIVE代表取締役。1988年から健康運動指導士として企業の特定保健指導で活動。1998年に名古屋で総合格闘技道場ALIVEを設立し、K-1やRIZINで活躍する格闘家を多数輩出。健康経営コンサルティングや興和株式会社スマートシティ事業アドバイザーなど、自治体と産業界をつなぐ推進役として活動。著書『健康経営のすゝめ』。BuWEIではプロジェクト全体の設計と事業戦略を統括。

”美”

西川千雅
Culture & Aesthetics

西川流四世家元。日本舞踊スポーツ科学協会(NOSS)理事長。6歳で初舞台、NYの美大卒業後に舞踊家として活動を開始。愛知万博開会式出演、伊勢志摩サミット首脳歓迎レセプション総合プロデュースなど、伝統文化の国際発信に実績を持つ。藤田医科大学修士。BuWEIでは「美しい強さ」を育むプログラムを担当。

”武”

Ian Roth
Mind & Martial Arts

名城大学および大阪公立大学高度人材育成推進センター所属の教育者、パフォーマンスコーチ。組織システム博士(PhD)およびICF認定コーチ(ACC)を保持し、Collegeof Stoic Philosophersのフェローも務める。大学でリーダーシップ論を教える傍ら、身体・心理・実践スキルを統合的に鍛えるBuWEIでは武道精神とストア哲学を融合させたプログラムの設計を担当している。

”体”

齊藤邦秀
Body & Wellness

有限会社Wellness Sports代表。東京国際大学非常勤講師。ウェルネスエコシステムデザイナー。フィットネス誌『Tarzan』エクササイズ監修を25年以上担当。ウェアラブルやIoTによるヘルスデータの可視化に注力し、エーザイ、サントリー、博報堂グループ等のヘルスケアプロジェクトに参画。BuWEIではDXで参加者のコンディションを科学的に可視化。