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Text by 相馬順子 (ENGLISH

(conceptasis代表 / Global Wellness Summit アドバイザリーボードメンバー)

毎年8月9日、世界に向けて平和への祈りを捧げる長崎市。広島に次いで原爆の惨禍を経験しながらも、日本・西欧・中国の文化を幾世紀もかけて織り込み、他国の人々を受け入れ続けてきたこの街は、ウエルネスを愛する旅人にとって特別な意味を持つ場所だ。Global Wellness Summitのアドバイザリーボードメンバーを務めるウエルネストラベラー、相馬順子氏が、外国人居留地の面影を残すグラバー通りの「ホテルインディゴ長崎」を拠点に、「1日7,000歩」を目標に据えて長崎の坂道、庭園、旬の恵み、香りを巡った3日間を綴る。

祈りと多文化が紡いできた「聖地」長崎

長崎市では毎年8月9日、世界に向けてこの街から平和への祈りがささげられる。日本で広島に次いで原爆の惨禍にあった長崎は、キリスト教徒が多く、他国の文化をいち早く受け入れてきた街でもある。日本、西欧、そして中国の人々が幾世紀もかけて集まり紡ぎ出した、タペストリーのように美しい街並みが今も息づく。 この街が持つ平和を祈る心、そして多くの他国の人々を受け入れてきた歴史は、ウエルネスを愛するトラベラーにとって、ひとつの聖地と言えるかもしれない。

江戸期に西欧・中国との交易で栄えた長崎港を描いた浮世絵。異文化を受け入れてきた土地の記憶が、今も街の随所に息づく。

拠点はグラバー通りの「ホテルインディゴ長崎」

宿泊はグラバー通りにあるホテルインディゴを選んだ。駅に近いホテルの方が便利かもしれないが、今回は「1日7,000歩を歩く」ことを目標のひとつに掲げていたため、緑豊かで散策コースに恵まれたグラバー園近くのホテルインディゴを拠点とした。

グラバー園の緑越しに望む長崎港。ホテルインディゴ長崎周辺は、散策コースに恵まれたロケーションだ。

目標は1日7,000歩。長崎さんぽコースのすすめ

ホテルインディゴを起点に、ウエルネスな生活を心がける人たちにおすすめしたい「7,000歩コース」を、上級者編・中初級者編の2つのレベルで紹介したい。

上級者編:坂道を上り、尾曲がり猫と夜景に出会う

尻尾がかぎ型に曲がった、この土地特有の猫を探しに、展望台へのぼろう。長崎の夜景の美しさはとても有名だ。この上級者向けコースは、ホテルインディゴを出発して「どんどん坂」を上っていくと、街角や石畳の回廊で、尻尾が鍵型に折れた猫に出会うことができる。目指すは鍋冠山公園展望台。曲がりくねった路地や緑豊かな小道を抜けていく道のりも楽しみのひとつだ。

昔ながらの石畳の坂(勾配が20度あるので、滑りにくく歩きやすい靴がおすすめ)を上りながら、旧外国人居留地の面影を肌で感じることができる。その先にある夜景の絶景スポットにもぜひ立ち寄ってほしい。

展望台から望む長崎の夜景。上級者編のゴールで出会える、坂を上りきったご褒美の景色。

中初級者編:グラバー園でゆったり庭園さんぽ

もとのグラバー邸に、市内各所からいくつかの洋館を移設して整備された庭園からは海を望むことができ、一瞬タイムスリップしたような感覚に包まれる。ゆっくりとグラバー邸の敷地をめぐり、庭園内のカフェでモーニングコーヒーを楽しめば、日ごろのモヤモヤやストレスがすっきりと解消される、ほどよい散歩になる。旅は日常のストレスから自分を切り離す大切な時間。この場所にいるだけで、時代を飛び越えたような気持ちにさせてくれる。

グラバー園にほど近い大浦天主堂。旧外国人居留地エリアには、異文化交流の歴史を伝える建物が点在する。

地産地消、旬のものを味わう

なんといっても、長崎でとれた野菜、海産物、そしてこの地の水は群を抜いておいしいと言われている。旬に食す長崎の料理は、食材の良さゆえかどれもとても美味だ。ホテルインディゴの夕食で出された、長崎のお茶を使った鯛茶漬けは、ほっと一息つける素敵な一品だった。長崎の食材はうまみがぎゅっと詰まった、至極の味わいを見せてくれる。

和華蘭(わからん)文化を象徴する長崎の郷土料理・卓袱料理。ひとつの円卓に旬の恵みが集う。
長崎の食材の旨みが溶け込むちゃんぽんも、地産地消を味わう一皿。

1日3種類の異なる香りを愛でる

脳を常に活性化させるために、香りをかぐという行為が大きく寄与する――世界最大級のクリニックであるクリーブランドクリニックのマイケル・ロイゼン医師も、そう提唱している。長崎にある香りの店「favorit(ふぁぼりっと)」を訪れてみてはどうだろうか。長崎ならではの香りを調香したお土産は、旅の思い出とともに、いつもあなたのそばで健康を見守ってくれる。できれば3種類、香りを作ってみてほしい。

お土産にも。長崎産エキストラバージンオリーブオイル

健康のために毎日とるオリーブオイルは、実は侮れない存在だ。オリーブオイルの主成分であるオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)は、オイルに含まれる脂肪酸のうち55〜83%を占める。飽和脂肪の代わりにオリーブオイルなどの不飽和脂肪を取り入れる食生活に変えることで、血中コレステロール値の改善を助け、心血管系疾患のリスク因子のひとつを減らすことにつながるとされる。

フレッシュで上質な長崎産オリーブオイルは、1日に大さじ3杯ほど取り入れたい逸品。フルーツのようなフレッシュな味わいの長崎産オリーブオイルは、健康のために欠かせないアイテムだ。ぜひお土産の候補に加えてみてほしい。

車を使わず歩いて巡れる、最高にウエルネスな街

ほとんど車を使わず、歩いて回ることができる長崎は、地元の食材と文化に恵まれた、最高にウエルネスな街だった。風光明媚な自然に囲まれた長崎市を、ぜひ次のウエルネストラベルの目的地としておすすめしたい。

筆者プロフィール

相馬 順子(そうま・よりこ)

世界最大のウェルネス業界団体Global Wellness Summitのアジア初のボードメンバー。20年以上のキャリアをウエルネス、ホスピタリテイー、ヘルスケアー事業に特化した事業に捧げてきた。ボストンコンサルティンググループ香港オフィスにて勤務、その後、株式会社conceptasia を設立・起業。現在は、株式会社CA Holdings(conceptasia社)のCEOを務める。